way to “THE FIRST”

Episode.6 使い込まれて完成するデザイン

日本の色を表現したい。

家具メーカーの開発部門に配属されて、
布地をつくるとは思わなかった。それも、糸からだ。

開発チームの若手メンバーN氏は、
ザ・ファーストの張地としてもオーダーできる
布張地「ブルーノ」を、入社数年で手掛けた。
イメージしたのは「日本の季節」。
例えば、春を表現した淡い桜色の張地は
グレーや濃いピンクなど一本ずつ異なる色の織り糸を重ねて霞がかったような独特の色合いを出している。

「ブルーノはザ・ファーストの開発と同時期に
オリジナルでつくったものです。
当社では革の場合と同じように、布地もイチからつくります。
もちろん糸屋さん、布屋さんに協力していただいて。」

経験不足の不安を抱えながらも、
あえて出すのが難しい微妙な色に挑戦した。その理由は、日本の暮らしに合うチェアーを顧客に届けたかったから。
苦心の甲斐あって好評を博し、定番カラー入りを果たしたという。

「うれしいです、やっぱり。先輩方にアドバイスをもらって、みんなで形にしていったものだから…ところで、それ」

すごくいい感じですね、とN氏が指さしたのはテーブルに転がされていた、記者の革製ペンケース。
10年以上使ってすっかり飴色になり、染みもついて、きれいと呼べる代物ではない。

「そこがいいんじゃないですか。使い込まないとなかなか、こういう色にならないでしょう?」

質問を待たずに口をついて出てきた、デザインに対するN氏の思い。

「どんな物でも新品は確かにきれい。
ピカピカなのがいいという人もいます。 だけど、日本人の間でもヴィンテージのデニムみたいに、古い物や使い込んである物をカッコイイという人が増えている。価値観が変わってきていると思うんです。」

汚れやキズも含めて「味」だと思う。
その「味」は、物やインテリアと長い日々を共にし、使い込んできた人にしか出せないものだ。
自分も、長く使えば使うほど輝きを増すような製品をつくりたい。
まだまだ修行が足りないけれど、そんな思いで仕事に取り組んでいる??。

N氏の言葉が、「大先輩」と仰ぐザ・ファーストの生みの親・I氏の言葉と重なった。

「デザインを完成させるのは我々じゃない。使ってくれる人だと思う。」

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