way to “THE FIRST”

Episode.4 伝統の技が生んだ、しなやかな革

カリモク社員は革にうるさい。 

「カリモクさんの条件は特に厳しい。キツイです、正直。」

カリモク社員を前にずばりと言い切るのは、皮革製造卸・E社の取締役。
父親の代からカリモクに家具用の革を納入している。
横ではザ・ファーストの生みの親、開発担当のI氏が苦笑い。
ほとんどの会社が既製品を購入するなか、カリモクだけは、新製品を出すたびにオリジナルの革をゼロからつくる。

「E社さんと僕とで、姫路にあるタンナーさんまで行って、職人さんと相談しながらつくっていきます。何回足を運んだかなあ。」

製品構想・設計から張地の革までを担当者が一貫して手掛けるのも、他社では考えられないシステムだろう。
イメージする風合い、手触り、厚み、しなやかさ、色。
それらを生み出せるタンナーは日本で、いや世界でただ一か所だけ。
なぜならば、水、そして人が違うからだ。

「原材料の"皮"を製品に使える"革"にすることを"なめす"といいます。
なめす過程では大量の地下水を使います。水の性質が変わればできあがりが変わる。 つまり、同じ革はその場所でしかつくれない。
もう一つ、なめしの工程はいくつにも細分化されていて、工程ごとに専門の職人がいます。一人の職人が他の工程を受け持つことはありません。
一つの技を一生かけて磨き抜くんです。」

「その何十人の職人たちを、80歳近い社長さんが束ねているんだよね。
その人の、60年以上の経験と知恵を借りて、何度も何度も試してもらって…」

ようやくできあがったザ・ファースト専用革「アリエス」は、1.3mmの厚みを残していながら、他に比べて驚くほど柔らかい。
薄くすればいくらでも柔らかくできるが、それでは試験をクリアできず、製品化のOKが出ないのだ。
伸び、引き裂き、摩擦、耐光性、耐屈曲性…屈曲試験だけで2万回行うという試験に耐え抜く丈夫さとしなやかな手触りの両立に協力会社含め何人のプロが頭を悩ませたことか。

「色落ちにしても、我々に言わせれば、カリモク基準は厳しすぎます。」

E社いわく、革に色を着けているのだから、いずれは色が落ちるのが自然で、絶対に落ちないことはありえない。ところが、

「"ほぼ絶対"まで持っていかないと、ウチでは通らない」とI氏。
バッグや小物なら濡れて少々色落ちしても傷がついても、気にする人は少ない。
しかしインテリアになると大きなクレームになりかねないという。

「安い物じゃないだけに、お客さまの目も厳しいんです。
殊に革は、ヨーロッパなら"味"といわれる部類でも日本では"キズ"や"ムラ"と思われる場合があるしね」

理想の革は、使う人の美意識を知ってこそ生まれる。

「だから革にうるさいですよ、ウチの社員は。女性の顔よりバッグを見る(笑)。」

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